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ドゥ・ザ・ライト・シングのmappiiのレビュー・感想・評価

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)
3.7
今、人種差別と戦うために世界中のたくさんの人が立ち上がってる。
SNSを開くたびにたくさんの人がこの差別がなくなるように訴えているのを見る。
肌の色だけで差別を受ける人がいる、そんな残酷世の中に生きていることが悲しくて仕方ない。
だから、私もまずは起こっている問題を知ろうと思った。向き合いたいと思った。「知ってるつもり」で表面上のことだけで考えるのはもうやめようと思った。大好きな映画を通してなら、私も学べると思った。

ポスターがこの人種差別を扱う映画の中でも割とポップだったので、まずはこの作品から。

この作品も意味もなく命を奪われた黒人の方々のために製作されたものだった。

黒人の街、ブルックリンでの人種の対立が日常の中に描かれる。黒人と白人の対立だけでなく、黒人の街で店が繁盛しているアジア人とそれを羨む黒人の対立も描かれる。
みんな、「人種」という偏見だけでお互いにどこか憎んでいる。その叫びにブレーキをかけるローカルラジオのDJ。「仲良くしたくないの?」という呼びかけが胸に刺さった。きっと多くの人はお互いに歩み寄って仲良くすることを望んでいるはず。思うことは同じだろうに、なんで足並みが揃わないんだろう。

終盤、今回、このムーブメントの発端となった事件のようなことが起こる。
そのとき、
少なくとも人前では中立的な考えを示していたムーキーはどんな気持ちだったんだろう。
人になんと言われようとこの街で仕事を続けることに誇りを持つサルはどんな気持ちだったんだろう。
この街を見守ってきた市長はどんな気持ちだったんだろう。
きっとみんな悪気を持って行動を起こしてるわけじゃない。現実と戦うために時に過激な行動に走ってしまう。”the right thing”って一体なんなんだろうね。みんな「正しい」と思って立ち上がってるんだと思うけど、噛み合わない。本当に難しい。

実際はもっと酷いのかもしれない。もっと平穏に仲良くできている部分もあるのかもしれない。
分からないけど、人種が違うだけで、小さな争いが絶えないこの映画もきっとどこかの街で起こっているのかも。小さな争いでも、思った以上に悲しい現実にたくさん泣いてしまった。
でも、これからいろんな作品を観ていく上で、もう涙なんて流したくない。この悲しい現実に立ち向かうパワーに変えたい。

Fight the power
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