垂直落下式サミング

仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
仮面ライダーディケイド門矢士は、カードダスを販促するために生まれた宣伝担当である。バンダイの営利目的に利用される改造人間の悲しみを背負いながら、今日も悪と戦うのだ。
ディケイドに物語はあるのか。俺の世界とは。物語が完結したのに主人公はウジウジ悩んで、そのまわりも幸せそうじゃないから、ドラマとしては本当に不本意なできだったのではないかと思う。
『仮面ライダー対大ショッカー』は、歴代の奴らをただ横並びにしただけだったけど、今回は各ライダーが自分の特性を生かして戦っている姿が見られるから、ちょっと評価高は上。
テレビシリーズを観ていたときは気付かなかったけれど、廃線のトンネルや、老朽化した廃墟、ホコリまみれの港湾倉庫など、舞台となるロケーションやその撮りかたが前衛映画っぽくて、退廃的で冷たい手触りの雰囲気はけっこう好みの世界観だった。
ディケイドはストーリー覚えてないから、今回見返して驚いたのは、電波人間タックルを広瀬アリスお姉ちゃんが演じておられること!ちょっと脇の開いたファイティングポーズがかわいい。ここで、門矢士という男をめぐる女の戦いがフューチャーされるんだけど、ディケイドってそんなはなしだったっけか?
ダブルの前日譚ビギンズナイトは、真っ当にコミカル調ドラマ。おやっさんがいる昭和を引きずったライダー。主人公の目標であり乗り越えるべき存在。フィリップにとっても、おやっさんはおやっさんだったのだとわかる。真っ当な物語。
男性性だだ漏れな吉川晃司がはまり役。仮面ライダースカルは、スカルマンからのイタダキでございやす。往年の石森ヒーローリバイバルの流れのなかでも、最新のデザインなのにクラシカルな趣のあるシルエットが完璧だった。
敵は、例によってスーパーなショッカー。またも甦った死神博士(石橋蓮司)は、蜂女にセクハラするエロジジイだから、やっぱりあんま気に入ってない。
本作から出てくるゾル大佐が好きでした。部下の服装の乱れを注意するし、自ら現場に出るし、いい上司!ナチスがモデルだから復活できないと思っていたんだけど、これで三幹部みんな復活したのはうれしい。
『仮面ライダーZO』のネオ生命体が出てくるんだけど、コイツから産み出されたドラスちゃんは、ZOよりも明らかに強い奴ら×10名の必殺技でフルボッコにされる前回のシャドームーン枠。いじめみたいで教育に悪い。