このレビューはネタバレを含みます
当時東映の社長だった岡田茂が、
ニューヨークで、ウォルター・ヒル監督の『ウォリアーズ』を鑑賞して触発され、日本でもそのような先駆的な若者映画を作ろうと思い立って出来上がったのが本作です。
いやあ、これだけ始めから最後まで苦笑し続けることができる作品はないですよ。
オープニングから『ウエストサイド物語』ばりに指を鳴らしながら東京の不良グループの、『ストリートファイターズ』が颯爽と登場。
ここから苦笑いが始まるのだが、
彼等はロックグループARBのコンサートを鑑賞する。
その会場で阿波踊りを始めたグループのメンバーの一人が、神戸の不良グループ『ドーベルマン・キッド』から空き缶を投げつけられたことから喧嘩に発展。
大乱闘になっている場所に警官隊が到着。
そして警官はなぜか『ストリートファイターズ』のリーダーケンと『ドーベルマン・キッド』のリーダーの妹であるマリアの二人を手錠でつないでしまう(逮捕なら意味が分からない)。
二人は警官に事情を説明することもなくいきなり逃走。
それも、関西の方ならわかると思うのだが急勾配と急カーブで有名な六甲山をなんと二人手錠につながれたままローラースケートで逃げることになるのだ、オイオイ。
そのあと、神戸三宮界隈を二人は逃げるのだが、商店街を歩く二人はただの仲の良いカップルにしか見えない^^
一応敵対しているグループ同士という設定なのだが。
仲間の一人が手に入れたポルシェで逃走を続けるのだが、あまりにひどい蛇行運転で警察に止められる。
が、実にあっさりと検問突破!
緊迫感などまるでない。
二人はモーテルに逃げ込むが、
いきなりモーテルを飛び出す。
料金はどうした!
その後も仲間のミスなのか何かわからないが、冷凍車に閉じ込められる二人。でも、「寒いわ、このままじゃ死んじゃう」というセリフを発するだけで、なんとなく解放。
途中、鎌倉かな?
海岸の海の家でグループが女子プロレスラーみたいな方々とよろしくやろうとするのだが、急に口裂け女みたいな女たちが登場してきて大乱闘。
河川敷を逃げていると、自転車に乗ってゴムパチンコを持った集団に襲われる。
いやあ、笑っていいのかどうなのか。
東京に着くと、本家『ウォリアーズ』のオマージュなのか、
派手なメイクに野球のユニフォームを着た集団が登場。
でも、なんてことないんだよな((笑))
廃ビル(?)に逃げ込む二人を追手は建物内部からビルを破壊する攻撃を敢行。
おいおい、ビルが壊れたらお前らも死ぬぞ。
でもここでもサイレンの音とともに画面はフェードアウトしていつのまにか脱出。
そもそもこの二人が何故逃げなくてはならないのかという前提条件からよくわからないので混乱してしまうのだ。
『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977)
を意識したディスコシーンがあったり、
おそらく『コンボイ』(1978)からヒントを得たのであろう仲間同士の通信手段にCB無線を使ったり、一生懸命面白くしようとしているのはわかるんだけどね。
でも、ストリートギャングたちが全然カッコよくないのが最悪だな。
いや、コメディ映画の主人公かと思うくらいカッコ悪い。
笑わそうとしているコメディシーンでは滑っているし、真面目なシーンでは笑ってしまう。
この作品がトラウマになってしまったのか、石井輝男監督はこれ以降14年間劇場用映画を撮らなくなる。
桑田次郎の漫画のヒロインみたいな岡田奈々が、まあ、魅力的なのが数少ない加点ポイントかな。
もし私が、愛すべきB級珍品映画ランキングを企画したら、
まちがいなくランクインです。
もし、この作品に興味を持たれて鑑賞されるのであれば、
必ず先に本家『ウォリアーズ』を観ておいてください。
そうすれば、この不器用な亜流作品がなんだか愛しく感じられるかもしれません。
尚、当時二本立てで、
同時上映は松田優作の『処刑遊戯』でした。