南森まち

スターシップ・トゥルーパーズの南森まちのレビュー・感想・評価

4.0
地球を攻撃してきたデッカい虫達の星に攻め入って戦う…というお話。

虫苦手な人もだんだん慣れてきます、きっと。エイリアンのヌメヌメ感とちがって、こっちはカマキリやダンゴムシ系の甲殻系なのでなじみやすい(?)です、たぶん。

原作はハインラインの「宇宙の戦士(1959!)」。そこからいろいろと改変しているのですが、この映画でもいちばん面白いのはその世界観や設定。
やっぱりハインラインはすごい、多作で名作揃いだ。今でも映画化バンバンしてるし。SF界のアガサ・クリスティだなぁ。

「絆の深い仲間たちと一緒に協力して勝ったぜ、イェーイ最高!USA!USA!」…な映画のように見えて、市民を戦争に賛成させようというプロパガンダ放送も見え隠れする。そういった皮肉の効いた演出が素晴らしい。
たとえば「戦争に参加することで市民権(選挙権)を得られる」(=退役軍人以外は選挙権がない)という設定が何度も出てくる。恐ろしくてリアルな世界だ。
今の日本のわたしたちは、徴兵の恐怖やプロパガンダによる戦意高揚なんて遠い国の話になってしまっているけど、民主主義下で兵士を徴収するとはこういうやり方になるよなぁ…。よぉできとる。

ただ、メインのストーリーは非常にオーソドックス。でもこれは仕方ない。小説を映画で見せるってのはいかに単純化するかってことでもあるし、この映画は設定説明がたくさん必要だもんなぁ。これ以上複雑にしたらもう分からないわ。

あと書いておきたい事は、2020年代と遜色ないCGの出来の良さ。とても30年前の映画とは思えない。「ジュラシックパーク(1993)」以降のハリウッド作品はどれも美麗ですね。中でも今作は非常にリアルでした。

オススメです!