manamii

長い散歩のmanamiiのネタバレレビュー・内容・結末

長い散歩(2006年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人生は長い散歩…ほんとその通りかもなぁと思った。

母親から虐待を受け、傷つき、立ち止まっていた幸は、松太郎に救われ、再び歩きだす事ができた。これだけなら、心温まるハッピーエンド。

一方、贖罪のため幸を連れ出した松太郎。それはある意味エゴと言えるかもしれないが、結果幸が次第に心を開いていく事によって、許しを得たように思える。(自分の娘とも重なってみえていたのでは) 大切な家族を壊してしまった自分を許してくれた幸はまさに、彼にとって天使であったのだ。出所後、目の前に現れたのは天使の幻影。彼を許してくれたはずの天使は彼を待ってはいなかった。(もちろん、実の娘さえも。) あぁ、一度背負った罪は、簡単に消えるものではなく、一生背負っていかなければならないという事なのか。いや、果たして本当に幸を救えていたのか。目の前に続く長い道へと歩きだす松太郎の姿は、おろす事のできない重い荷物(罪)を背負っているように見えた。これがラストシーンですから、なんだか救いのない気持ちになってしまった。しかし緒形拳のその背中、「男は背中で語る」ではないけれど、本当にそんな感じで素晴らしかった。

またワタルのように辛い道のりに耐えきれず途中で散歩をやめてしまう者もいる。私も、歩みは遅いし、辛くて立ち止まったり、立ちはだかる困難に諦めそうになる事もあるけれど、それでも歩き続けていきたいと思う。
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