このレビューはネタバレを含みます
5月27日〔日〕晴
1982年製作
ジョン・カーペンター監督
友人からの勧めでやっとこさ鑑賞。
ジョン・カーペンター氏の作品は初見かと思いきや、調べてみると、なんと名作スプラッターホラー【ハロウィン】の指揮も取った名監督。
浅学が悔やまれるが、両作品について言えるのは、ホラー要素の先にある人間描写の巧みさであると考えられる。
今作でも顕著に見受けられた犯人探しの絶妙な心理バランス、駆引き、緊張感はクリーチャーの出現しない助長した時間を退屈させない作りにさせ、かつ、恐怖演出の場面での効果的な手助けとなっていた。
また、多くの人が評価しているクリーチャーのビジュアル、生態については言うことなしである。これでもかという程にグロテスクに。鮮やかに。“ それ ” が鮮血に濡れ、現れるシーンは美しさにも似た芸術性を感じた。ハロウィンのマイケルにおいても、ただの殺人鬼に美学的なものを感じたのは、“純粋悪”を貫いた結果であるだろう。今作においても、生理的に辛辣、不快感を享受させようと追及しているように見受けられた。特に犬なんてね。犬好きには目を背けたくなる扱いだった。
一本筋の通った気概は時として、不快を感じる物だとしても、羨望に変化していくのだと感じざるを得ない。
ただホラー映画のお約束と言わんばかりに登場人物は次々と毒牙にハメられていくのだが、名前を覚える前から、バッタバッタと死んでいくせいで、魔女裁判の様に“ それ ” を炙り出していく場面では感情移入がし難かったのが、唯一の難点ではあったか。
なんにせよ、ホラー映画のバイブルと言われる作品に触れ合えるキッカケを作ってくれた友人に感謝である。
ラストシーンの主人公とチャイルズの掛け合いは最後まで謎を誘発させる。果たして二人共人間だったのか。どちらかは…果てにはどちらも…?