「俺の任務はカンボジアへの潜入。イカれたグリーン・ベレーの大佐を殺すことだ」
ベトナム戦争中に、カンボジアで帝国を築いた上官を部下が殺しにいく話。
とにかくカオス。前半戦争エンタメ、後半哲学の授業みたいな内容で、結構ついていくのが大変だった。キルゴア中佐のクレイジーっぷりを楽しんでたら、標的のカーツ大佐が意外と詩とか読み始めて困惑するというか。そして製作過程の話を見てこういう構成になったことに納得。
ただ内容としては、「戦争の欺瞞」に焦点を当てているのが面白いなと思った。"機銃を浴びせて手当てする"ような酷いやり方を一般の軍人たちはしているのに、なぜカーツ大佐の行為は許されないのか?主人公ウィラード大尉がカンボジアに向かう道中で、段々カーツの考え方に染まっていく様が斬新だった。普通はぶっ倒す側に思考を傾けていくと思うんだけど、あえて標的の思想に寄せていくという。あのラストにしたのも正解だと思う。
あまりにセットが凄くて「なんかこれものすごくお金かかってないか…?」と思いながら観てたけど、案の定90億円も掛かってて笑った。私財を投げ打ってまで作ったコッポラ監督は凄い。
以下、セリフメモ。
「ここはまだサイゴンだ。いつになったらジャングルで目覚める」
「とびきりの任務だったが、それを終えた時俺は思った。"二度とごめんだ"と」
「行き先が地獄ってことを俺は知らなかった」
「カーツは限界に達し、完全にイカれてしまった」
「抹殺するのだ。私情を捨てて」
「"死のカード"だ。誰がやったか敵にわからせる」
「サーフィンか銃を持って戦うか。どちらかだ!」
「朝のナパームは格別だよ」
「カーツが怒ったのも当然だ。この戦争は四つ星のお偉方が演出している道化芝居だ」
「軍の機密だ。俺はカンボジアに潜入する」
「これが軍のやり方だ。"機銃を浴びせて手当てする"。欺瞞だ」
「書類に書かれてないカーツのことがわかり始めた」
「大佐と話を"する"?話を"聞く"んだ。彼は軍人で同時に詩人だ」
「君は考えるか?"真の自由"とは何か。他人の意見に囚われぬ自由。自分からも解き放たれた自由」
「彼に会えばすぐ任務を果たせると思ってた。だがダメだった」
「地獄の恐怖には顔がある。それを友とせねばならぬ。恐怖とそれに怯える心。両者を友とせねば、一転して恐るべき敵となる。真に恐るべき敵だ」
「軍人として死ぬことを望んでいた。みじめな脱走将校としてではなく」
「地獄だ。地獄の恐怖だ」