Ryoma

悲情城市のRyomaのレビュー・感想・評価

悲情城市(1989年製作の映画)
4.4
正直なところ、あんまり寝ずにって言ってもまあ大体五時間ぐらいは寝て駆けつけた映画館、なので、やっぱり映画館っていうのはむんむんと眠くなる環境、真っ暗、生温かいシート、ゆっくりと流れる時、などがそろっているせいか、やっぱりやっぱり眠くなった。まあ何度も言うようだけど五時間睡眠が原因なのだがそれに加え、この映画が小津的なゆっくりと流れるスローなドラマっていうのも原因で、もうちょい寝とけばよかった、と今更後悔。何か鈍重なのよね、瞼が。それで体の芯・奥の方を力ませて鈍く重い瞼を開けようとするのだが、やっぱり鈍重なのよね、瞼が。でさあ、もう死ぬほど火照ってきて、挙句の果てに、なんというか、眼球がぷるぷる震えているのが分かるのよね、細くすぼんだ視界の中で。なんたって獰猛に侵食してくる睡魔の大波に逆らって体を低姿勢で構え、驚くべき意志のもと観たい!観たい!と頑張って力んでいるのだから。そりゃ震えるよね、眼球、ぷるぷる。しかしまあ、そんな中でも良かったのは、結局、「完全に寝はしなかった」ってこと。だってクーリンチェの場合は完全に寝ちゃったから、それに比べれば、ねぇ。
で、肝心のこの映画の感想なんだけども、上述したようにうつらうつら観たからか、まるでいつか見た夢のように記憶の中でいろんなシーン・ショットがキラキラ煌めいていて、早くもう一回観たいって感じ。これはクーリンチェを恐ろしい睡魔の中で観て、観終わったあと数か月間ぐらい感じた感覚に近いのだけれど、何故か劇場ではあんま感動というか鳥肌というかそういうものは感じなかったのに、後々追うごとにだんだん形成されてくる夢の中の煌めきっていうか、そういう魔力的なものが記憶のからくりの中で成長していく感覚?多分恐らく再度見返すと大いなる感動を得られるタイプの映画っていうか、そんな感じ。だから早くもう一回観たい、と切望渇望する。
Ryoma

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