緑青

アバウト・ア・ボーイの緑青のレビュー・感想・評価

アバウト・ア・ボーイ(2002年製作の映画)
3.9
私はヒュー・グラントとニコラス・ホルトが好きなので「いやこんなん好きやろ…」と思って観た。好きだった……………。
途中めちゃくちゃ笑ってしまったので(心を解かれてしまったので)「これ下手したら泣かされる」と警戒していたのにやっぱりちょっと泣いた。
イギリスのこの手のドラマは、人間の類型について描くのがうますぎる時がある。都市に住む(ミドル〜少し下くらいの経済感覚の)個人の、半径10m圏内の生活と人生の話を、ユーモア豊かに軽妙に、不意にシビアに、きちんと保たれた解像度で書いてくる感じ。パディントンからブリジットジョーンズ、ショーンオブザデッドに至るまで、ジャンルを変えてもその街に生きる人間の人間らしさは確かに描かれる(と、ここまで書いて「もしや」と思って調べたらBJDとコルネット三部作は同じワーキングタイトルフィルムズの製作だった。推して知るべし)。
子どもは「大人」が想像する以上に強かだけど、人生に必要な知識にまだ欠けていて、自分で自分を守ることが出来ないからこそ「子ども」なのであって、でもその周りにいる大人たちがみんな「大人」かというと実はそうでもない、という事実に忠実な映画でした。
冒頭、「ファイトクラブだな?」となる展開があります。あとお母様が『ヘレディタリー継承』のお母様で「ちがうってわかってるけどこわいょー!」とはなる。たぶん主演がヒューグラさんじゃなかったら「サイッッテイだ犯罪だ怖い逃げよう大人みんなちゃんとしろ…」で終わる作品です。きちんとした脚本家とヒューグラさんとニコラスホルトくんをキャスティングした時点で成立した企画なのかもしれない。ありがとう世界。いい映画でした。
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