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三重スパイのkojikojiのレビュー・感想・評価

三重スパイ(2003年製作の映画)
3.8
エリック・ロメール監督作品初鑑賞。

世界の歴史を勉強する上で、この頃私が一番面白いと思っているのは、第1次世界大戦から第2次世界大戦直後1960年ぐらいまで。
この時代に一番興味がわく。
というのも、中学、高校時代共にこの時代を勉強していないために新鮮であること、それ以上に今の世界各国の関係性がこの時代を勉強するとしっかり見えてくるからだ。

この映画はまさにこの時代の映画。特にフランス🇫🇷という国が一番揺れた時代である。
つまりロシア革命による共産主義が世界を席巻している中、お隣のドイツでは、ヒットラーのファシズムの脅威がフランスを揺るがしている。フランス国家を考える上で、一番重要な時期と思うからだ。

#1458 2023年460本目
2003年 フランス🇫🇷映画
監督:エリック・ロメール
製作:バレリオ・デ・パオリス
エンリケ・ゴンザレス・マチョ

1930年代のパリで実際に起こったスパイ事件をもとに描いた作品だ。
ギリシャ人の妻アルシノエ(カテリーナ・ディダスカロウ)とともにフランスへ亡命してきたロシアの将校フョードル(セルジュ・レンコ)は、在仏ロシア軍人協会の事務員として働いていた。
やがてスペインで内戦が勃発するとフョードルの出張が多くなり、アルシノエが問いただすとフョードルは諜報活動を行っていることを密かに打ち明ける。
そんなフョードルの行動に疑惑を抱く者が現れ……。

夫フョードル役のセルジュ・レンコがすごくうまい。彼の発言は、どこまで真実なのか何を喋っても真実のようで真実でないようで。こんな男でないとスパイは務まらないだろうと思わせる。
この映画、全体の70%は夫婦の会話というイメージなのだが、この会話だけで三重スパイというサスペンスを仕上げる。すごく変わっていて、面白い作品だ。

監督のエリック・ロメールはこの作品を撮る時はすでに83歳。遺作となった。
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