昼寝

沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇の昼寝のレビュー・感想・評価

4.9
終わり方かっこよすぎる。ボネールがはじめてユペールの家を訪れる場面の終わりで、クローゼットの扉についている鏡によってふたりがフレーム内に収まるのとかもキマりすぎていてやばい。終盤にあるディゾルブ、映画か自分の眼のどっちかがおかしくなっちゃたのかと思った。ユペールの絶妙に似合っていないファンシーな服のチョイスとか、机につけたガムをまた食べたり、スカートがめくれているのを気にも留めない様子だったり、やばいやつ感が最高、ほんとにこういう人いるし。ディスレクシアとか関係なくほとんど白痴みたいなふたりだけど、その裏側には彼女たちを虐げた男の影があり、労働者とブルジョワの間の格差も当然ある。ブルジョワ家庭を乗っ取るのではなく、破壊しつくすというところに深い溝を感じる。家族もたいがいおかしくてたまらない。再婚どうしの夫婦は、母は連れ子の息子と父は連れ子の娘とそれぞれ距離が近く、その間には断絶があって近親相姦のにおいもするけれど、狂いきっているわけではなく、食卓を囲みテレビでオペラを見てまともな家族になろうと努力している。「パパに隠し事はできない」という母のせりふ。あと義理の姉・ルドワイヤンなんてスケベすぎて……。『女鹿』のように女ふたりは狂気の中で同化していくし、またテレビは不気味でいやな使われ方をするし、また日記帳には鍵がかかっている。隅から隅までシャブロりまくってる。テレビでもシャブロルの映画みたいなのが流れてると思ったらシャブロルだった。『血の婚礼』見たい。特典映像のシャブロルトークを見て、当たり前なんだけどこんなに考えて映画を撮っているのかと、自分はその演出の何分の一を受け取れているんだろうと、なんか凹んでしまうくらいすごかった。シャブロル、俺映画監督になれるのかな?
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