切なくて胸が苦しくなる作品だった。
「親の心子知らず」と言う言葉があるけど子供が親をどれほど欲しているか、親に見捨てられないために親から愛されるためにどれ程心を砕いているか。
よくスポーツの選手の子供が親と同じ競技をする時に親は「無理強いしたことはない、子供の方からやりたがったし好きだった」と言うのを聞くけど私はいつも双方気づいてないけど子供は親がどうしたら喜ぶかを常に注意深く観察していてそのスポーツをやってみたら親が思い切り嬉しそうにする、これをすると親が喜ぶと学習するからその道を疑わずに進むのだと思う。
アル中の親に育てられ自分は絶対お酒を飲まない人と結婚すると決めているのに好きになる人がアル中なんて話も、アル中の親の望む子供、親に認めてもらえる子供になろうとしてそれが身についてそういう人を好きになってしまう。
仮の親子の二人は二人とも親から見捨てられたくない、期待に応えたいと思っているのに叶わない、同じ種類の孤独を持っている。
わずか10年ほどしか生きていない少年が人間の闇の深淵を覗いてしまった傷は癒やされることはないのだろう。ジェイミーの自傷行為は目を背けたくなるほど辛かったし彼にとっての一番になりたい、変えのきかない唯一無二の存在になりたいグラハムの複雑な思いの交換は簡単には理解できないと思う。
ジェイミーの深く美しいブルーの瞳が哀しさをより深めた。
