このレビューはネタバレを含みます
渥美清といえば『男はつらい』の寅さんだが、源さんもどことなくその面影を感じると言うか…渥美さんの為人がそもそもああいった感じなんだろうなぁと勝手に推測する。
本作の一番の見どころは、何と言っても源さんが実家へ戻ってから島を離れるまでのシークエンスだろう。自分が悪いことを理解し、親友と元妻の幸せを邪魔せぬよう気丈に振る舞う島での源さん。しかし、島から離れていく船の上で涙。これまでのシーンで源さんが決して悪い人ではないことを目の当たりにしてきたからなお辛い。
これらのシーンを必要最低限の台詞でじっくり見せられるのは役者たちの演技あってこそ。日本映画全盛期の妙はこういうところにある。
〽︎男というものつらいもの、顔で笑って、顔で笑って腹で泣く、腹で泣く。