蘭奢待

オデッサ・ファイルの蘭奢待のレビュー・感想・評価

オデッサ・ファイル(1974年製作の映画)
3.5
サスペンスドラマとしては出来過ぎでイマイチだが、1960年代から70年代にかけて燃え盛っていた、ドイツの奥底で鬱勃と燃えているナチス帝国主義の精神への警鐘。
ドイツの過去を直視せよとのヴァイツゼッカー大統領の渾身の演説でドイツ国民の考えを変え、火は下火になるも、現代においてもヒトラーを賞賛し、犯罪を無かったことにするネオナチの根は深い。
この映画のクレジットにサイモン・ヴイーゼンタールの名前が出てくる通り、ユダヤ側の感情が多分に入っているだろう。皮肉なことに、現代ではシオニズムの下に、パレスチナに侵攻し、難民を迫害し、パレスチナは憎しみをつのらせる。
悪行と憎悪と報復の連鎖により不幸な歴史は繰り返される。人間の宿業なのだろうか。

この映画の見どころの1つがドイツの風景。あの有名なバイロイトが、こんな田舎だとは思わなかった。
蘭奢待

蘭奢待