アナ

禁じられた遊びのアナのレビュー・感想・評価

禁じられた遊び(1952年製作の映画)
3.9
空襲で両親と犬を失った少女ポレットと貧しい少年ミシェルが心を通わす物語。

ポレットは愛犬を埋葬する方法を教わる。穴に埋めてしまうとひとりぼっちで寂しいだろうと言うポレットに、寂しくないように周りに沢山の墓地を作ろうと提案するミシェル。

序盤の空襲シーンからだいぶ辛いものがあったが...戦争ものは仕方ない。

死を身近に体験しながら、死を概念として子どもなりには捉えているんだろうけれども。大人の世界の善悪がつかない子ども達の穢れなく純粋無垢な気持ちは美しくもあり時には残酷でもあった。それでもお互いを心の拠り所としている描写は印象的で、それすらも意識として感じていないんだろうけれどラストは本当に必要なものを直感的に感じた取った描写に涙した。
少年ミシェルも、幼いながら大人とうまく渡り合っているような子だが、ポレットという初めて慈しみと愛情を抱ける存在と出会った。大切に面倒をみたり、喜ばせるために望みを叶えようと奔走したり、僕にもキスして、と妬いたりと、少年としての淡い恋心と愛情がなんとも絶妙だった。

幼少時代ものってノスタルジックさを感じると同時に、無垢さと無力さに泣きたくなる。ミシェルがポレットのために作った墓地と十字架の場面は愛おしくてとても綺麗だった。

後の展開を観客に任せる、含みを持たせるようなラストシーンは、流石名画である。フランス語は美しいけどやっぱり作品としてはフランス映画ならではのしっとりさ。

胸が苦しくなる映画でした。
アナ

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