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暗い日曜日のmiporingoのレビュー・感想・評価

暗い日曜日(1999年製作の映画)
4.5
好きなところは、レストランオーナーのラズロと給仕のイロナと店付きのピアニストであるアンドラーシュ3人の恋愛模様とこの恋愛の美しさ。いちどに二人の男性と付き合うというのは個人的心情では「あり得ない」なんだけど、この三人だと「あり」となる。イロナのさまざまなワンピース姿の素敵なこと。三人でピクニックに行ってイロナの両側に男二人が湖畔で寛ぐ姿は、まるで母親と大きな子ども二人。日本では力づくでも女を自分を振り向かせ、自分だけのものにするのが男らしさという価値観なのかもだけれど、ヨーロッパの男は、自由な女をどれだけ奔放にさせても動じないというところに美意識があるかのようだ。美しい女を共有することで精神的にも固い友情をお互いに抱く男2人という姿も、理解はできないんだけど、好ましい。
復讐劇って、いつも思うんだけど、こんなにすぐに死なせてしまってほとんど苦しませずに、復讐になるんだろうか。もっと真綿で首を絞めるようにじわじわと。。。ってわたしの中の悪魔が囁くのですよね。冒頭でハンスが倒れた時に、奥さんが彼に駆け寄るより前にちぎれたネックレスの真珠を慌てて拾う姿が何気なく映されてます。似たもの夫婦だったんですね。それと、ハンスが多くのユダヤ人を救った偉人として有名になっていたことがあとになってわかるのがショッキング。ナチの一員だったことには変わりないし、救った場合も金目当てだったくせに。彼を殺すよりももっと早い時期に事実を告発するほうが復讐になったのではと思ったりしたけど、ずるいハンスはそれをまた利用するんでしょうね。
で、イロナの息子は、誰の子なのか問題。もしハンスの子だとすれば、自分の実の父親の殺害に手を貸したことになるわけで、そこも、謎が余韻になる。

よく作りこまれたいい映画だと思う。もう少しメジャーになってもいいのにな。ソフィーの選択よりも、こちらの方がずっと好き。

ちなみに、ハンガリーで生まれた曲『暗い日曜日』が世界中でヒットして、自殺の聖歌といわれたことは事実らしい。youtubeでいろんなアーティストがカバーしてるけど、ビョークのがよかった。
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