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プロゴルファー織部金次郎4 シャンク シャンク シャンクのmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.5
《ご長寿の映画》、Vol.11。

シリーズ3作目までは観てたからいよいよコアな部分に触れてるような気がする4作目。

プロゴルファー織部金次郎、通称“おりきん”。
昔からこのシリーズが大好き。
武田鉄矢は金八先生よりも、本シリーズか『刑事物語』の武田鉄矢が好き。

言うほど“鉄矢節”をかましてないからかも知れない。
金八のように生徒の前に立って教えを施すキャラではなく、“うだつが上がらない”をそのまま地でいく代名詞みたいなキャラクター“おりきん”がとてもハマってる。
若干説教臭くて講釈垂れだけど、棘がなく、等身大で、欲をかかないこの庶民的なキャラが素敵。

このシリーズは途中から武田鉄矢自ら監督やってることもあって、彼の魅力を余すことなく存分に徹してる感じ。“うだつの上がらない”を存分に。

そして、このシリーズの見どころはその“うだつの上がらなさ”と双璧をなす見どころは、財前直見。
彼女がめちゃくちゃ可愛い。
シリーズ1作目からおてんばでお茶目なキャラ。

歳の差も、キャラの差も、美女と野獣さながらの武田鉄矢と財前直見。
彼女に振り回される反面、彼女のストレートさに何度も助けられて“うだつが上がらなくても”ゴルフを続けられてこれた。

その腫れた惚れたでも語りきれないこの2人にしかない付かず離れずの関係性が最高。

今回も、おりきんは桜子と娘達のためを思って、お金のためにスポンサーを付け、クラブを変える。
大事な手に馴染んだサンドウェッジを置いて別のサンドウェッジを握りながら戦う。

元のサンドウェッジで調子を上げたのに、スポンサーの思惑に左右される。
スポンサーの会社の女課長の妙な距離感など、今回も良かれと思ってやればやるほど本意ではない雑念が増えて、本当に求めていたことを見失う。

47歳と言う年齢でやっと掴みかけてるシード権を追うか、理由はどうあれやっとついたスポンサーとの契約の狭間で起こる摩擦と葛藤。

光石研は最高だが、彼に振り回されて不憫なおりきん。でも途中から妙に親身になってくる光石研は胸を打つ。

シャンク、シャンク、シャンク。

望めば望むほど遠のく夢や希望。
得意のバンカー攻めで愛用しているクラブをステラに変えたこと。
それを勧めたのは桜子であること。
皆が良かれと思って掴ませたチャンスが、転じて彼をピンチに誘う。

この雑念多き彼のゴルフ人生、何を掴むか、どの道を行くか。珍しく取れる選択肢があるようなないような、そして、結局彼らしい選択とは何なのか、が浮き彫りになる4作目。

やっぱり財前直見可愛い。まさにツンデレ。
しかも「あたしは、おりきんにはナンバー1ではなく、オンリー1になってほしい」って、どんだけ時代を先取りしたセリフか。

そして、阿部寛カッコいい。
その他のお馴染みのオリキン思いの仲間達の気遣いや下支えが今回はやや少ないが、胸に沁みるこの庶民的シリーズ、良い。

“うだつが上がらない”、それで良いじゃないか。
うだつが上がらなくたって幸せはあるんだ。
どこでどんな成績だってそのままで良いんだ、みんながついてるぞ。

この頃のバブルな世界観の中で、寄り道ばっかして庶民の期待と夢を乗せて、スター性が無くとも皆に愛されて、がむしゃらに全てを飲み込んでシャンクを打ちにいくおりきん、最高。


F:1728
M:106
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