Hana

2001年宇宙の旅のHanaのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
5.0
アーサー・C・クラークの原作を読んだ後鑑賞。何より衝撃的だったのは、映像に想像力が負けてしまったことである。そもそも人は物事を映像で見るよりも文字で読んだ方が想像力が膨らむものである。無機質な文字から最大限自分の頭の中で、筆記されている情景や人物を思い描く。そのため原作が本である場合、それがどんなに正確に映像化されても原作ファンが満足することは少なく、得てして何かしらの物足りなさを感じてしまう。
この映画を鑑賞する前、まず疑問に思ったのが原作で描かれるブラックホール落下のシーン、時をまたぎ部屋を巡るシーンなどを一体どうやって映画の鑑賞者を納得させる表現にするのか、ということだった。それらのシーンを原作で読めば分かるが、ただでさえ普通の人間の想像力を超える、文字通り異次元の体験が記されているのである。脳内で思い描くことすら難しいようなシーンだ。
そして映画を鑑賞するに至ったが、それらの疑問は全て吹っ飛んでしまった。完璧に、いや、私の精一杯の想像力のはるか先の光景がそこに具現化されていた。
想像力がキュービックの映画に負けたのである。
これが60年代に制作されたという事実には閉口せざるを得ない。SF映画という分野で大抵の人間の想像力の限界を遥かに超えたのがこの異常な作品である。
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