あまのうずめ

式日-SHIKI-JITSU-のあまのうずめのレビュー・感想・評価

式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)
3.5
男は線路に横たわる彼女と出会う。1日目30日前、彼女は「明日私の誕生日なの」と言う。2日目29日前、彼女はまた「明日私の誕生日なの」と言った。それは願いを叶える為の儀式とのことだ。3日目28日前......、時はカウントされて行く。


▶︎主演の藤谷文子の原作『逃避夢』を庵野秀明が脚本・監督した作品で、岩井俊二も男・カントク役で主演している。役名も「男・カントク」と「彼女」でその世界は独特。好きな人どころか観る者も選んでしまうかの様な突き離された感じが心地良い。

創作意欲を失ったカントクが彼女と接するうちに彼女を被写体として撮り始めるのだが、この彼女がめんどくさい奴で、こちらも彼女に振り回されたり引っ張られたりする。彼女にとって言葉は凶器であり救いでもある。そして観てるうちに当たり前の映画とは言葉と映像があってのモノだと再認識させられる。

短いシーンの連続から始まりやがてワンシーン長セリフ長回しが続いたり、廃墟で見せる退廃的美術・実験的映像を存分に使用し眼にも訴えて来る。そこに加古隆のE・サティ的な優しい音楽、伊藤佐智子の衣装と庵野秀明が撮るドラマに華を添えた。

ラストやっと筋書きのあるシーンで大竹しのぶが登場し安堵させるのも憎い展開で、体力をめちゃ使う作品だった。