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その土曜日、7時58分のsasaのネタバレレビュー・内容・結末

その土曜日、7時58分(2007年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

金欲しさに計画した強盗計画が、少しずつ狂って最悪の方向へ進んでいく。イーサン・ホーク演じるハンクが主役の、ありがちなバッドエンドのクライムサスペンスかと思いながら観ていると、次第に兄アンディとその父チャールズの愛情と葛藤の物語へと変貌する。

葬儀の日、アンディが父に『俺は本当の子供なのか?』という長年抱えてきた疑問を投げかけるシーン。真相を知った父とアンディとの、病室での最後のシーン。二人の表情や沈黙から伝わる気まずさ、葛藤、そして愛情は、単なるサスペンス以上のものがある。

ラストシーンで心拍数の変化がバレないように電極を自分の胸に貼るのだが、チャールズの鼓動の音により、人を殺すことそのものへの緊張感はもちろん、『妻への愛のために息子を殺す』ことに対する心の動きまで観る側に伝えられる。原題にもなっている冒頭のセリフの意味もここで分かる。
時系列を巻き戻してまた再生する独特の撮り方も良く、小さな伏線をこまめに回収していく面白さもある。決して楽しい物語ではないが、とても好きな作品であった。
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