ねこのみかた

その土曜日、7時58分のねこのみかたのネタバレレビュー・内容・結末

その土曜日、7時58分(2007年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

あまり期待してなかったんだけど、予想に反してすごく面白かった。
でも、後味はよくない。
いや、非常に悪い。

それぞれの事情でお金に困っていた兄弟、軽い気持ちで働いた悪事が思わぬ不幸を呼び、どんどんと悪い連鎖を生んでいく…本当にスリリングで、このあとどうなるんだろう?とドキドキしながら観てた。

で、あのラスト。
うわぁ、そうくるのか…。

兄貴のほうはデキがよく、いい職にも付いていて一見リッチな生活をしているのに、麻薬に手を出してしまったせいで会社の金を遣い込み、監査が入る前に金が必要になり、弟のほうはデキがいまいちで、離婚した妻と暮らす娘の養育費を払うのに必死で、いつも金欠状態。
そこで兄貴が弟をそそのかし、両親が経営する宝石店に強盗に入る計画を立てる。

ここまでなら、断然兄貴のほうが悪い!ってなるんだけど、兄貴のほうは、子どもの時から家族の中で疎外感を持っていて、特に父親には愛されたことがない、父はいつも弟のほうばかり可愛がると思って生きてきた。
実際そうだった。
しかも、現在は、自分の妻と弟が浮気をしているという現実。
兄貴も不幸で可哀想な人間。

けっきょく最後八方ふさがりになった兄貴は、人まで殺してしまい、そしてあのラスト…。

父親はあのあと弟をどうしたんだろう?
弟は許したんだろうか?

もとはといえば、父親にも責任があったのでは?
もっと平等に兄弟と接していたら…。
もっと良き父であったら…。

どこから始まったのか、狂った歯車はどんどんと狂い続け、やがて崩壊する。

なんとも悲惨で、重苦しい。