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KAFKA/迷宮の悪夢のRのレビュー・感想・評価

KAFKA/迷宮の悪夢(1991年製作の映画)
4.5
我が最愛のソダーバーグ監督の、あまり評判よろしくない作品で、まだ見てなかったので見てみたら、めちゃめちゃ面白いやないの!作家カフカが小説のなかに描き続けた悪夢の世界を、彼自身を主人公にして、映画として再現してる感じの作品やった。ある日、勤め先の保険会社の友人が、川で死んでいるのが発見される。警察では自殺だと推定されたのだが、女性の同僚から、彼を含む数人で政府に対して革命を企てていたことを知る。町のむこうにそびえる城のなかで、日々役所業務が執行されているのだが、友人は死の日、城に用事で出かけていたらしい。さらに、その後日、革命分子たちが集まるアジトに出向いたカフカは、彼らが皆殺しになっているのを目撃。身を潜めて役人による殺人を目にしたカフカは、ひょんなことから城への侵入口を教えてもらう。という流れ。まず何よりも先にスゴイ!って思わされるのが、まさに悪夢そのもののようなシュールな白黒の映像! ドイツ表現主義的タッチを現代的なスタイルで構築したすさまじい世界観は、今まで見たカフカ原作映画のどれよりもカフカ的! すべてのショットにとんでもないこだわりを感じさせ、始終釘づけだった。そこに、近代化によって生じる人間の非人間化と官僚による民衆の支配というテーマがからみ、それが見事なまでに視覚的に表現されている。延々タイプライターに文字を打ち込み、ハンコを押すだけの仕事、広大な文書保管室に所狭しと山積みになったおびただしい書類、クライマックスのとんでもないプロジェクトの描写(未来世紀ブラジルのよう!)、などなど、やりすぎな誇張表現がめちゃめちゃおもしろい! そして、大変なペシミズムでもって幕を閉じるナイトメア。何もかもが素晴らしかった! が! 確かに、アメリカのメジャー作品でこれやったら、干されるわな…。完全にひと昔前のコアなヨーロッパ映画のテイスト。そういうのが好きな人は確実に惚れ込むと思います。主演のジェレミーアイアンズをはじめ、個性的な面立ちの有名俳優たちも、この上なく魅力的。アレンジが効きまくってるので、好みがわかれるとは思うけど、カフカファンはとりあえず見とくべきと思います。カフカファンでない人は、城は読んでから見たらより楽しめるかも。城は死ぬほど面白いよ。ハマったら首ったけ! また見たい! 何度も見たい! ちなみにカフカ読んだことない人の感想も是非きいてみたい。
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