三樹夫

ブラック・ダリアの三樹夫のレビュー・感想・評価

ブラック・ダリア(2006年製作の映画)
2.9
元ボクサーの刑事の主人公は同じく元ボクサーの刑事とコンビを組み事件を捜査していた。相棒には恋人(スカヨハ様)がおり、事件が解決した日には相棒の家で3人で祝杯をあげるなど親交を深めていた。
ある日、強姦や強盗、殺人などの罪を犯したナッシュを張り込んでいた2人は銃撃戦になるが、それと同時刻にその現場の近くで胴体を真っ二つに切断され口を耳まで裂かれ臓器を抜かれた異常な死体が発見された。所謂ブラック・ダリア事件である。ブラック・ダリア事件の捜査に加わる2人だが、相棒はブラック・ダリア事件に異常な執着を示し、さらにもうすぐ釈放されるボビー・デウィットを異常に気にしている。主人公は主人公で、ブラック・ダリアに似た富豪の娘ヒラリー・スワンクに執着していく。

死んだ女に似た女に執着するって『めまい』だな。デパルマまた『めまい』をやってる。一応はフィルム・ノワールをやろうとしていて、画面をデジタル加工し1940年代っぽい画作りを行っている。
色々問題があるというか破綻している映画で、まず殺されたブラック・ダリアをミア・カーシュナーが演じていて、ブラック・ダリアに似た富豪の娘をヒラリー・スワンクが演じているがはっきり言って2人が似ていない。「あなたはブラック・ダリアに似た女にこだわってる」みたいな台詞があるが、この台詞がないとブラック・ダリアと富豪の娘が似てることが分からないし、この台詞だけが富豪の娘はブラック・ダリアに似ているという設定を確保するものになっており観ていてずっこける。富豪の娘は絶世の美女という設定なのだが、ヒラリー・スワンクって生活感がある庶民的な感じの役者なので思いっきりミスキャストになっている。おそらく2004年にアカデミー主演女優賞を受賞したヒラリー・スワンクが出演すると出資が増えるためとかそんな理由でキャスティングされていると思う。普通にミア・カーシュナーの一人二役で良かったように思うが、こういうとんでもない破綻をぶち込んでくるのがデパルマらしさといえばらしいが。
ブラック・ダリア事件の脇に色々な事柄が同時並行で起きているが、ブラック・ダリア事件に関わってこないのが話が変に複雑化して観ていて混乱するし、散漫な印象を与える原因になっている。
らせん階段での殺しはただの偶然⁉︎みたいな、殺しのピタゴラスイッチみたいになってる。

クレーンショットで死体発見やらせん階段で志村後ろなどデパルマらしいキメキメの撮影など見所はある。特にらせん階段はケレンとハッタリを利かせまくっておりもの凄く盛り上がるが、これがあるのは1時間15分ぐらい経った時で、観ててやるの遅いよこれまで関係ない話ばっかりやってグダグダさせ過ぎだよと思った。八百長の話とか結局何だったんだろ。
相棒の恋人でスカヨハ様が出てきて、絶対主人公が我慢できずに手を出して三角関係みたいになるなと思ったら全くその通りだったが、ただそれも特に意味を持たずに終わってしまい、色々なことが起きてたけど何だったのが多い映画だ。映画内ではヒラリー・スワンクがファム・ファタールとなっているけど、どうしてもヒラリー・スワンクよりスカヨハ様の方がファム・ファタールっぽく見えてしまった。
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