虹島流浮

ブレインストームの虹島流浮のレビュー・感想・評価

ブレインストーム(1983年製作の映画)
3.5
近年だと『インセプション』、『レミニセンス』などで描かれてきた潜在意識を覚醒させ快楽を得る科学、その先駆けとなった本作。本作では他人の思考、記憶、感覚の全てを体験できる設定。
監督は『2001年宇宙の旅』、『未知の遭遇』で特撮を務めたダグラス・トランブル。
いまやVRでお馴染みの仮想現実を体感する装置とその映像に工夫が見られて面白い。
香りや味、オーガズムまで体感できるというのだから羨ましい。
まさに観客は映画というものをそのように体感しているので二重に美味しい。
現実世界を剥離して映画という仮想現実に身を委ねて主導権を握らせ、それに快感を覚え、あたかも自分がその世界にいるのではないかと没入させるのが映画の魔法。
本作のラストは『アルタード・ステーツ』と被ります。
そしてナタリー・ウッドが撮影中に不審死を遂げたという曰く付きの映画になってしまいましたが、それも内容と被るのが奇妙です。
『カッコーの巣の上で』にて名演技を魅せたルイーズ・フレッチャーが本作でも狂気に迫る演技を魅せるので、彼女みたいな存在が映画の中にいると没入感をさらに高めてくれます。
苦悩顔俳優クリストファー・ウォーケンも見事です。快楽と解放を表現したラストはお見事です。