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芙蓉鎮のtanziのレビュー・感想・評価

芙蓉鎮(1987年製作の映画)
4.0
若き姜文が出てる60s-70s中国大陸の文革時代を描いた映画。

昔なら「人間の尊厳は全くないし、文革は悲惨な歴史だ。こういう政治は人を不幸にする。でもそこで力強く生きることの逞しさ」などという感想になったかもだけど、2019年の日本に生きてると他人事には感じられず、とても辛かった。

映画の感想にこんな事を書くのも野暮とは思うのだけど、

今どんどん押し進められている国民主権まるっぽ無視、国による憲法違反人権無視、
ジャーナリズムや立法府の破壊、知性と反知性による国の分断。

違法犯罪 反モラル デマに対して絶対に謝罪せず責任も取らない社会にしてしまった今の日本を考えると、

あっという間に同様の世界になるかもと想像してしまい、心から恐ろしくて堪らなかった。

戦前回帰としか思えない現政権の行く末は、
この作品と同じどんな人権無視にも黙って耐え、隣人から密告され既得権益を持つ者による抑圧がまかり通る不正義の世界を確立しようとしている。

しかもそれは与党に投票した、または投票すらしなかった国民が自ら招いている事。頭が痛い。

まさか自分が文革映画を観て、これ程まで身近に感じるとは想像もしなかった。

本当は、若い頃の姜文やはりかっこいい〜と惚れ惚れして終わるつもりだったのに。なんやねん。ほんまにもう。
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