猫脳髄

悪を呼ぶ少年の猫脳髄のレビュー・感想・評価

悪を呼ぶ少年(1972年製作の映画)
3.8
特集・Killer Kids 5/9

本作の脚本をつとめたトム(トマス)・トライオンによる原作を随分前ではあるが読了しており、重大なオチは了解したうえで鑑賞した。対照的な性格の一卵性双生児を主人公に据えたサイコ・スリラーとしては、本作が嚆矢にあたるのではないか。近くはブライアン・デ・パルマも「悪魔のシスター」(1973)で同様のオチを用意しており、当時はよほど衝撃的だったと思われる。

主人公の一卵性双生児の兄弟がロシア系の移民家族で、祖母にあたるユタ・ヘーゲンが慰みに教え込んだ「想像力の魔術」が事件の遠因とか、ラストに生きる手品のクダリとかストーリー上のディティールが丁寧に描写され、全体的に実に丹念に作り込んでいることがわかる。

ただ個人的に最も衝撃だったのが、双生児を絶対に同じフレームに入れないためにカット割りを工面し、カメラパンで両者の会話を滑らかにつなげているのにいたく感心したが、実は役者も双子だったというところ。これは椅子から転げ落ちそうになった。

確かに、同一フレームを回避すべきという課題と役者も双子かは別問題である。こちらが勝手にカット割りとカメラワーク、編集の妙味に感心していただけなのだが。見事な割付けにもかかわらず、なんでわざわざ双子を用意したのか若干いぶかしい。もとい、子どもの目線に限定して物語をつないでいくことから、例えオチを知っていても、彼の視野狭窄的な世界を体験させる構造は見事だし、外部の事件と彼の行動との整合性を几帳面にとっているところは好感が持てる。
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