猫脳髄

テンタクルズの猫脳髄のレビュー・感想・評価

テンタクルズ(1977年製作の映画)
3.2
オリヴァー・ヘルマンこと、オヴィディオ・G・アソニティスによる動物パニックホラー。完全に「JAWS/ジョーズ」(1975)の人気に乗っかった亜流作品だが、本作の名誉のためにいい添えると、同年のマイケル・アンダーソン「オルカ」(1977)よりは公開時期は早い。

アメリカ西海岸で海底の掘削工事がはじまったのと時期を同じくして、水難事故が多発する。犠牲者は強い力で骨になるまで吸引されており、謎の巨大生物の存在を疑う記者役のジョン・ヒューストンと海洋学者のボー・ホプキンスが真相に迫るという筋書き。

前作「デアボリカ」(1973)もオカルトブームに乗っかっており、(よくいえば)「本歌取り」を旨とするイタホラらしいが、肝心のクリーチャーがずいぶんお粗末で、タコが蠢く姿は実寸のクロースアップを多用し、人間サイズと絡むときは、足だけの模型か、もしくはスクリーンプロセス(!)である。予算をクリーチャー以外に振ったかのかと思いきや、実は大ダコの本体模型が撮影中に流されてしまったらしい。確かに、本体模型らしいものが海上に顔をのぞかせるシーン(ヘドラかワニにしか見えないが)が確認できる。

ただ、ヒューストンやシェリー・ウィンタース、ヘンリー・フォンダなど、すでに第一線とは言えないが、ハリウッドで名声を得た俳優を登場させるとさすがに画面が引き締まるし、重みがある。大ダコ退治のアイディアや俳優効果、苦肉の策とはいえ、大ダコのヴィジュアルを工夫で乗り切ったところは評価したい。
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