中庭

ラビッドの中庭のレビュー・感想・評価

ラビッド(1977年製作の映画)
3.1
『シーバース』と同じく、メインの舞台装置は得体の知れない感染現象。向こうは強姦などの性的な暴力行動をまるで本能に従わせただけだ、とでも言わんばかりの剛腕さがあったが、こちらはより無差別な、純粋な捕食行動を誘発する。
感染源の女の脇には、肛門にも、女性器にも似た穴が授けられ、暗がりから陰茎とほぼ同じ外見の吸血管が飛び出してきて、尚かつ先端の穴から細長く白い針が飛び出す仕組みさえ持ち、人を抱き抱えるようにして生き血を吸い取る。
吸われた瞬間に息絶えるのではなく、潜伏期間を経て暴力的な行動をとるようになるタイムラグに『スペースバンパイア』を思い出しつつ、希望のない陰鬱で呆気ない幕切れが面白かった。世界を滅ぼす程の脅威ではないにしろ、日常生活には決定的なひびが生じてしまったのだ。
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