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トラック29のnyakoのレビュー・感想・評価

トラック29(1987年製作の映画)
4.5
ニコラス・ローグがもしイプセンの『人形の家』を撮ったら…とふと思った。
これはとてもわたしに刺さってしまった。
特に妄想大爆発のところ。
人形でどかん!あれでザックザク!
いや、もしかして妄想じゃなくてほんとだったのかも?

オープニングはまるでMVみたいで強烈。
マミー!の雄叫び。
staring ゲイリー・オールドマンって感じ。

前半はユーモラスなドラマに感じて、なんだよ全然ジャケと雰囲気違うよ、なんて思ってたら、
どんどんサイコサスペンスみたいになって不気味になってきます。

夫と二人暮らしの妻リンダ。
医師である夫のヘンリーは鉄道模型に夢中。部屋は所狭しと模型が広がってる。
夫の趣味に文句を言いながらもなんだかんだうまくいってそうには見えるふたり。
ここまではどこかユーモラスな雰囲気も感じる。

ある日息子だと名乗る男がリンダに会いに来た。
ここあたりから映画の雰囲気がガラッと変わってきて…。
リンダは高校生の頃に出産した子供を里子に出した記憶があり、ずっとそのことを悔やんでいたのです。
そして家庭生活の方も、実は夫は愛人もいて、リンダは酒浸り、夫婦生活はすでにメタメタになっていた…。

鉄道模型にハマってる夫に困ってる妻…だと思ってたら、あれれ?リンダの部屋は見渡すばかりお人形だらけ…。寝る時もお人形を抱きしめてる。
リンダの心は赤ちゃんを産んだあの時のまま、まるで時間が止まっているかのよう。

息子演じるゲイリー・オールドマンは茶髪で登場。
なんか茶髪のイメージなくて新鮮。
ピアノで弾き語りもして驚きの美声も披露。
彼の演技は狂気めいていて、ぶっ飛んでて、予測が出来ない怖さがある。。
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