見始める前に思った。「明日に向って撃て！」というちょっと希望に満ちたタイトルだったが、逆に主人公二人は壮絶に最期を遂げる結末となった。じゃあ逆に「俺たちに明日はない」のような悲観的なタイトルであれば主人公二人は死なないのだろうか。だが、そこはやはりアメリカン・ニューシネマ。ラストは切なくも壮絶であった。
ボニーとクライドの強盗コンビが次々と仲間を集めながら州から州へと強盗を繰り返すも、ある人を銃殺してから状況は一変。懸賞金がかけられ、仲間の中でも妙な険悪感が生まれ始める。
個人的には、キャラクターたちに何かしらの魅力があったお陰で最後まで飽きずにみることができた。また、テンポも良く、音楽もアップテンポが多かったので楽しく見ることができた。最後以外は。
ただし主人公の兄の奥さんがかなりうるさいやつだったので見てるこっちもイライラしてくる。娯楽であるはずの映画で、こうした要素は中々痛い。また、物語は単純なので、もう少し複雑な物語や世界的不況が背景にあったのでそうした時代背景ももっと活かせたはずである。
とはいえ、当時としてはあのラストシーンはかなり衝撃的なものである。恐らく救われない話であるとはわかっていたが、あそこまで撃たれるとは思いもしなかった。撃たれるといえば、本作での保安官たちの銃撃がヤバイのは若干気になった。保安官たちは民営のモーテルも犯罪者が滞在してればめちゃくちゃ銃をぶっぱなしても問題無しとは思えないが……
まあ個人的には「イージー・ライダー」よりかは断然エンターテイメント性がつよかったので、飽きずに見れたことが唯一の救いである。「明日に向って撃て！」然り、今作然り、暴力、強盗、セックス要素を適度に盛り込んだハリウッド作品はもう今世紀においては観れないもの。現代の私たちがアメリカン・ニューシネマを見る際には、今作か「明日に向って撃て！」を最初に見ることを薦める。
