みむさん

ジャーヘッドのみむさんのレビュー・感想・評価

ジャーヘッド(2005年製作の映画)
4.0
湾岸戦争をちょっと違った角度から描いた映画。兵士の回想が元になってるそうな。

前半は延々と本番に向けた訓練描写が続く。意気揚々と志願した兵士たちはいつ湾岸戦争にお呼びがかかってもいいように、毎日過酷なトレーニングをする。

だけど。

現地に派遣されてもいつまでたっても戦争が始まらない。

普通に考えたら良いことのはずが、彼らには異常。早く実践したくて仕方ない。なんのための過酷な訓練なのかと、こんなことを思う時点で兵士たちはすでに精神バランスが崩れてると思う。
ある意味そんな兵士たちの心身状態を分かりやすく映した「地獄の黙示録」上映シーンが異様だったな。いつでも出せるエネルギーの出しどころがなく映画に向かって大騒ぎ。

戦闘するために鍛えられた彼らが戦闘できない。それで壊れていく兵士という、皮肉でユニークな映画だった。
爆撃機にキレるピーター・サースガードがいちばん端的にそれを表してたな。

銃を使わず、人を殺さず、生き残ったとしても兵士としては納得がいかないのか。

映像も前半後半対照的で、カラカラに乾いた灼熱下の兵士たちが印象的な前半、夜の油田で火柱がいくつも燃えて幻想的にすら感じる後半。

特に後半はサム・メンデスxロジャー・ディーキンスのコンピのお得意の(!?)画だった。