眼鏡の錬金術師

ゴールデンスランバーの眼鏡の錬金術師のネタバレレビュー・内容・結末

ゴールデンスランバー(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

昔見たけど、感想書いてなかったので再視聴する。原作は伊坂幸太郎大先生。もちろん既読。

「お前、オズワルドにされるぞ」

一人の何でもない青年青柳が首相暗殺の濡れ衣を着させられ、追手から逃亡していくノンストップハラハラアクション。
冒頭、久しぶりに会う大学の頃の友人森田との車内でのやり取りがかっこいい。不穏な空気の出し方が見事だ。さらに視聴者へ状況の説明も兼ねていて一気に物語へと引き込まれる。
物語は現在の逃亡生活と大学時代を行ったり来たりして進み、どんどん伏線が回収されていくのが気持ちいい。

誰かが書いたシナリオは全て決まっていて、警察はその通りになるように青柳を犯人として捕まえようとしてくる。香川照之演じる警察のお偉いさんも非常に憎たらしいし、ショットガン男もめっちゃ怖い。今は亡き竹内結子が画面の中でかわいく動いてるの切ないな。小さな鈴木福くんもいた。
原作でもそうだが、青柳と樋口が何もやり取りしてないのに、お互いの記憶からカローラでニアミスするとこが本作のハイライトだ。
言わば世界が敵なのにロックな同僚とかお父さんとかの無条件の信頼がすげー泣ける。
事件の真相は分からないが、この作品は真相はどうでもいいのである。とにかく青柳が追い詰められる理由さえあればいいのである。

展開としてはスラムドッグミリオネアに似ていて、ご都合主義的と言えばそうなんだが、圧倒的な組織力に追われる青柳が少ない仲間と大学時代の記憶を頼りに最適解を出し続けながら追手を撒いていく。ちょっとキルオとか病院のおじいさんとかの能力高過ぎるけどね。

これは原作愛に満ちた作りになってたね。エピローグがステキだ。
音楽は全体的にちょっとダサかったかな。

FILMARKS見ると、中村義洋監督ってここずっと呪いのビデオしか撮らなくなっちゃったのかね。結構好きな作品多かったんだけどな。