ダンクシー

PicNicのダンクシーのレビュー・感想・評価

PicNic(1996年製作の映画)
4.0
「じゃあ皆で見に行こ」
「何を?」
「地球の最後を見に行くの」

なんじゃこの芸術的すぎる映画は…!すげぇ病的だけど、美しいんだよね。岩井俊二、恐るべし。サウンドトラックも素晴らしい。精神障害者のロードムービーは、初めて観たかも。何度も胸が締め付けられたな〜。"カッコーの巣の上で"とか"シャッターアイランド"とは全く別角度からのアプローチだった。

崇高なメッセージ性があるわけでも社会風刺をしているわけでもなく特段ストーリーもない。ただ、この作品にアート性を感じたかどうか。また、背負った罪と聖書、この2つのメイン要素は繋がりが常にあり終着点へと向かっていくのだが、確かにそれぞれのエピソードの描き具合が薄いため唐突な描写に対して鑑賞者が受け入れ体制になりづらいところはあると思う。評価の分かれ道はそこだと思う。

「お前たち、塀の下には降りられないのだな。さては天使が舞い降りたかなぁ…。それじゃあ、私がそちらに行くってのはどうだ?」

いわゆる塀の上は世界との境界線。この世界では塀の上でしか生きられない人達。塀の上から落ちて死んだのは落下が原因ではなく、塀の下におりれば彼らは生きることが出来ないという暗示である…。

多分、ツムジは神を信じていたというよりも神にすがることで罪の意識を逸らそうと過去の行いから目を背けようとしていただけなのだろう。雨によって洗い流された2人の罪。しかし、それでもなお苦しむツムジに、世界の滅亡を見せてあげたココ。もうねぇ、たまらんですよ。ここでいう世界の滅亡は、同時に世界の始まりでもある。苦しい世界を終わらせたんだから。ココのセリフ通り、彼女の死は世界の終わりだった。そしてツムジは解放された。そして、代償として大切なものを失った。地球最後のキスが後に効いてくるのもえっぐいね〜。

「あたしがあんたの罪洗い流してあげる」

ラストシーンはソナチネを思い出した。死っていうのはマイナスな事だし決して良いものではないけど、散り際の美しさってのは生よりも神秘的に感じることがあるんだ。太陽の真下で散りゆく姿はまさに堕天使。ココは、神の使いだったのかもしれない。
ダンクシー

ダンクシー