シェパード大槻

PicNicのシェパード大槻のレビュー・感想・評価

PicNic(1996年製作の映画)
5.0
塀の上に天使と悪魔。
混沌の現実でも秩序の施設でもないところ(塀)に、彼らの信じることだけが法則の本当の世界がある、と思う。閉じた世界は青春の宝物。そこは不便だけど。
ココが施設外の塀に飛んだ時の嬉しさ、こういう人のこういう芸当に救われる場面ではいつでもあんなピアノ曲が頭に流れる。
ココはツムジの罪を無くすために世界を終わらせてあげた。本当に地球最後の雨と地球最後のキスになった。
塀の上ならどこまでも行ってよくて、太陽を撃てば世界が終わって、自分が死んだら世界は終わって、信じれば救われて、、、子供みたいによく信じる3人は教会の合唱団より純粋だ。塀を歩くときの歩きづらさと隊列は彼らの子供っぽさと似合ってる。
冒頭の薔薇を並べる映像と、揺れる電気に人形の先生がいる映像と、ココが海辺の塀を走る映像(犬がいるところ)と、塀から落ちたサトルの死の舞踏?が好き。昔のV系PVみたいな青い肌と黒い羽根と精神病院が醸す耽美は、ちょーすき。それでいて後半は開放感もある。