あしからず

私の殺した男のあしからずのレビュー・感想・評価

私の殺した男(1932年製作の映画)
3.9
自分を守るための嘘が他を守るための嘘に変わり、戦争の傷痕を見事トロイメライに昇華。鍵のかかったピアノの開放による赦し。ご都合主義とも幸福とも残酷ともとれるけど、これをドイツ人のルビッチが撮った意味はたぶん大きい。
教会でみせるサーベルの剣先と軍靴のかかと、会話中の爪いじり、ドアと窓の使い方、胸元を隠すブローチと、細部の観察眼が冴えている。シリアス劇ながら覗き見にクッション持参やドレスの値上げなどお得意のユーモアも忘れないのさすが。
ドアの音のみで示す下卑た好奇心。
あしからず

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