若い時に見てからずっと僕のベスト1映画。
見直す前にふと思った。
若い時の僕は何でこの映画をベスト1に選んだんだっけ、と。
三谷幸喜が好きだと言っていたから？
それともあえて白黒の古い映画を選んで、映画通に見られたかったから？
気取ってるだけで、本音は天空の城ラピュタが1番好きなんじゃないのか？
そんな思いで見始めると、ジャックレモン演じるC.Cバクスターが上司達の浮気の為に自分の部屋を貸していた。
真夜中でも風邪をひいていても、そして浮気相手が好きな女性でも。
勿論出世のためだけど、本当は断りたいんだよね。
だけど気が小さいのか、優しすぎるのか、断れないバクスター。
その時やっと分かった。
断りたくても断れない、人に利用されてばかりのお人好しのバクスターが自分にそっくりだから、僕はこの映画が好きだったんだと。
バクスターに自分自身を重ねて見ていたからオールタイムベスト1にしたんだと。(気取って選んだ訳じゃなかったんだ😊)
だから最後、上司のフレッドマクマレイの頼みを遂に断ったシーンは自然と涙が流れてきた。
そしてシャーリーマクレーンと見つめ合いながらトランプを配るラストカットを見て、この1位は永久に変わる事はないなと確信した次第です。
勿論映画の完成度も完璧。
若い人がテレビドラマやマンガで"伏線回収"と騒いでるのを聞くと、正しい伏線回収はこの映画にあるよと老害を発揮したくなる。
1番の美しい例は、ひび割れたコンパクトだけどそれ以外にも沢山ある。
ワイルダーとI.A.Lダイヤモンドはどうやってこんな脚本を書いたのだろう？
本当に何度見ても飽きない。
今回見直して、ジャックレモンのコメディアン色の強い演技が少しだけノイズだな、と初めて不満な所も出てきた。
それぐらい冷静に見れたんだと思う。
僕はバクスターのようにメンチュになれているだろうか？
映画っていいなぁ〜。
