すずり

イージー★ライダーのすずりのネタバレレビュー・内容・結末

イージー★ライダー(1969年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【概略】
荒野をハーレーのチョッパースタイルで駆ける二人の男。
彼等は放浪の中で様々な人々と出逢い、そしてすれ違っていく。
そして旅路の途中、彼等を不意に凶弾が襲う...

・・・

【講評】
アメリカンニューシネマの傑作と名高い本作は、当時の米国に颯爽と現れたヒッピー等の新人種や主義主張を反映した、現代的な映画として当時の観客の度肝を抜いた、
らしい。

正直その時代背景や登場の経緯を知っていないと、何がなんだか分からない映画筆頭だと思うので、ある程度の解説は先に読んでおくのがいいのかもしれない。


それはさておき。
本作は上で述べたように、ベトナム戦争へ突入していく鬱屈とした米国社会に突然現れたヒッピーや、改造ハーレー、ドラッグ&セックスなどの現代文化を赤裸々に映し出し、既存のロック楽曲をふんだんに使用するなど、当時の常識に全く捕われない作りをしており、まさしく一世を風靡した。

軽妙な音楽と共に奇抜な格好でバイクに跨る彼等の旅路は、2020年の今でこそ珍妙に見えるが、それでもなお私達の目を惹きつけるロックな渋さを携えている。
やっぱりハーレーは男の永遠の憧れだよね...

そして、このハーレーに跨り星条旗をいくつも着込んだ男性は"キャプテン・アメリカ"と名乗っている訳であるが、これは分かりやすい米国&米国国民自体のメタファーになっている。
最初に腕時計を外して走り出した彼等の旅路は、もう後戻りすることができない。
"キャプテン・アメリカ"は走り続ける道すがらで、1960〜70年代に現れた様々な人種と触れ合い、過ぎ去っていく。
しかし、物語の最後にはそれらの新しい価値観を拒む古い人間達の手によって、彼等は突然に凶弾に倒れる。

このシナリオ構成に、大人(老人)達の偏見や既得損益の蔓延る当時の米国社会に対し、新しい時代の到来や若者文化を鮮烈に映し出そうとした彼等の意志や、
『我々を排斥するんじゃない!!』
というデニス・ホッパーやピーター・フォンダの魂の叫びが感じ取れる。
自由の国で誰かの自由を奪う戦争が始まり、若者達を次第に巻き込んでいく中で生まれた、若者達の声の代弁とも呼べる映画。
なのかもしれない。

【総括】
1969年当時の世相を鮮やかに映し出して若者文化を大きくフィーチャーした、アメリカンニューシネマの金字塔的作品。
予習しといた方が楽しめるかも?
すずり

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