渡邉ホマレ

プレデターの渡邉ホマレのネタバレレビュー・内容・結末

プレデター(1987年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

第1作『プレデター』が公開されたのは1987年。
監督は翌年に『ダイ・ハード』を誕生させる事になるジョン・マクティアナン。主演はシュワルツェネッガーで旧友のエリート軍人にアポロ・クリードことカール・ウェザース。新たな最強コンビ結成!これは『コマンドー』のジャングル版か…?と、序盤は思う。
シュワが率いるのはまさにスーパーソルジャー部隊(レンジャー部隊)だ。完璧に統率され、アイコンタクトで死地へと飛び込み、任務を遂行する。
序盤はプロフェッショナルとしての彼らの強さが存分に発揮されるのである。
しかしそんなスーパーソルジャー部隊が、一人また一人と、「謎の敵」によって手も足も出ず惨殺されていく。
強いやつらがさらに強い敵によって、なすすべもなく追いつめられる。
これによって「謎の敵」の脅威が強調されるのである。
(『エイリアン2』も同じ。屈強な海兵隊が手も足も出ない。だからエイリアンの脅威が際立つ仕組み)
よく考えれば当たり前の基本的な仕組みだけれど、序盤のシュワルツェネッガーたちに説得力があるからこそ生きる。

「謎の敵」の視点はブキミなサーモグラフィー。武器はデジタルめいた未来兵器だ。さらに現地の女性が語る都市伝説から、不気味さは恐怖へと変貌していく。

この第1作が画期的だったのは、「ジャンルの飛躍」だ。
コマンドーアクションからのサスペンスホラー、サバイバル、そして敵の正体が明らかになっていく過程でSFに変わり、最後は独りになったシュワルツェネッガーが肉体と知恵と勇気を振り絞る対決へと、ジャンルを飛び越えていくダイナミズムにあると思う。
ラスト、敵の素顔を目にしたシュワルツェネッガーの一言「なんて醜い顔なんだ…」からの脱出後のヘリコプター内での表情。そして流れるテーマ曲の不穏さ。
あの「自分はいったい、何を観せられたんだろう…?」というモヤモヤした気持ちは、プレデターの正体がすっかり白日の下にさらされた現在では再現不可能なものなのだ。