さみわん

ハプニングのさみわんのレビュー・感想・評価

ハプニング(2008年製作の映画)
3.2
この映画は非常に人を選ぶ作品です。物事が白黒はっきりしないと気がすまない人にはおすすめしません。その点だけ乗り越えられるならば、本作でしか見れないようなショッキングなハプニングに遭遇する事ができます。

★自殺表現のある作品なので注意。

★ここからは軽いネタバレを含む感想


劇場公開時に観賞していましたが、監督の新作公開に触発されて、本作を再観賞。受ける印象も変わっていたのでその変化のあたりを書きたいと思います。

まず起きている現象がとにかく怖いですよね。本作でしか見られない様な自殺行為が次々に発生する序盤は恐怖でしかなく、人間の防衛本能として、少し笑いが浮かんでくるほどです。

その後はずっとこの訳の分からない現象にひたすら怯えさせられる展開が続き、それが正しい対処かもわからずに必死に対応を強いられます。主人公達にできたのは、非常に絶望的な状況のなかで、ただ嵐が過ぎるのを祈るだけでした。

本作の怖いところは、まさにハプニング。"偶然で、思いがけない事が起きる"ということにつきます。何が起きているのかも想像つかないし、一旦起きてしまったらそれに振り回されるしかないのです。

とはいえ、こんな現象が現実に起きる事はないと思うかもしれません。ですが、誰一人それを証明できません。という事はこんな事が明日現実に起こる事も誰も否定できないということですよね。

奇しくもコロナ禍の状況は、本作の状況に近かったなぁと思います。初報に何かとんでもない事が起きていると思い、右往左往の中何が正しい対処法かも分からず行動し、そして今、理由も明確にわからぬまま収束を享受しています。

どんな姿をしているか分からないそのハプニングは、今まさに起きようとしているかもしれない。コロナ禍を得て変わった変化は、それはある日突然起こり得るという絵空事ではない肌感覚かもしれません。
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