何もうまくいかないけど受け入れよう。
職場が閉鎖される。父親にキャデラックをもらうが、父親はそのまま自殺。閉じないキャデラックのルーフ。強盗に有り金を奪われる。キャデラックを売るも安く叩かれる。日雇いの仕事も雇用主が逮捕されて終わり。かつての強盗を見つけ格闘するが誤解されて逮捕。懲役1年11ヶ月。
どこまでもツイてない。けれども彼は文句を言わないし、誰かに当たらないし、落ち込まない。あるがままに受け入れる。まるで老子の上善如水のようだ。
その生き方が、たまらなくロマンチックである。「何を持ってるか」ではなく、「誰がそばにいるか」と物語ってる。彼は失っても、誰かに与えることを忘れない。新聞のように。
演出も情緒的で、閉まらなかったルーフが閉まる瞬間はうっとりとしてしまう。最後の船上、3人の表情に心を打たれる。
「本当の私がいる、大空のお伽の国。そこには悲しみも死ぬこともない」とエンディングで流れるけれど、彼らはそう思ってないんじゃないかな。