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真夜中の虹のあのレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
4.2
物凄く印象に残るシーンが一つもないにも関わらず、作品全体の乾いた感触が物凄く印象に残るカウリスマキ独特の演出は、地味だけれど実は一番洗練されているのではないかと思いました。

初めはすぐに人を信じて強盗に遭うなど、どことなく鈍臭い主人公が、機転を効かせて脱獄したり、さりげなく友人の危機に気づいたりできるほど生きる能力を身につけていく。こうした、安易な幸福は絶対に与えないが、かといって執拗に忍耐を求める訳でもなく、労働者階級の人々が持つ潜在的な生まれ変わりの可能性に希望を見いだす、カウリスマキ独特の暖かなタッチが本作でも光っていました。
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