浅野公喜

殺人魔の魂の浅野公喜のレビュー・感想・評価

殺人魔の魂(1933年製作の映画)
3.7
女死刑囚の霊が別の女性に乗り移り愛人の男に復讐する、飛行機事故で早逝したキャロル・ロンバード主演のオカルトホラー。死刑囚憑依系だと80年代の「ショッカー」や同時期のガバリンシリーズ第3作「デビルジャンク」が思い浮かびますが、遥かに遡ってこれが元祖かもしれません。

復讐相手の男はインチキ霊媒師。財産目当てで金持ち一家の兄を亡くしたばかりのキャロル演じる妹に兄を降霊すると言って近付くのですが、降霊会に女死刑囚を実験に使った博士と実験によって幽体離脱したその女の霊がついてきたのだからさあ大変。そのまま妹に憑依して復讐・・という展開で憑依後のシャ乱Q時代のつんくor豊田真由子元議員みたいなつり眉毛のビジュアルと同じ監督の「恐怖城/ホワイト・ゾンビ」同様目元のどアップがなんとも印象的。

ショッキングなシーンはそこまで無いのですが、降霊会におけるデスマスクや映写機等で兄を登場させたりメッセージを浮かばせるトリックは良く出来ており、偽物だとしても屋内で首が浮かんだり窓の外で首が通り過ぎる所はモノクロも相俟って結構不気味です。また、エンディングも想像通りながら「兄」が雑誌のあるページをめくることで妹と婚約者にメッセージを送る粋な計らいがホラーながらちょっと感動的で実に後味が良いものでした。
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