ベビーパウダー山崎

誘惑のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

誘惑(1957年製作の映画)
3.5
喜劇でありながら、老人がかつての彼女を思い出してその娘にキスをしてしまうマトモじゃない(倫理観が欠如している)気持ち悪さに中平康の真髄がある。気が触れるほどヤバい役柄を得意とする左幸子や渡辺美佐子が飄々とラブコメしている奇妙な可笑しさ。ダンスパーティーの見事な配置。優劣が伝わり難いフィクションでの芸術を岡本太郎など「本物」を引っ張りだして一発でキメてくる説得力。この世界の「天使」のような芦川いづみが二階のレースカーテンを締めて、それぞれの(地上での)恋愛劇の幕が下りる。