カルトホラーって事でグチャドロシーン満載なのだろうと身構えたが、そこら辺は意外と控えめでグロ耐性のない自分でも全然平気だった。どちらかと言えば藤子不二雄Aとかロアルド・ダールなんかを思わせる、ちょっと不気味でゾワッとするブラックユーモアという感じ。
全体的におぞましさよりも楽しさの方が勝っているが、決して冗談めかさず、あくまでも真面目風なのが良い。変な人達の変な言動を日常風景のようにさらりと描いて、よりイカレぶりを際立たせるブラックなノリがいにもイギリス出身者のセンスで自分にはどストライク。
ピクニックシーンでの変態度の高さはとくに秀逸で腹を抱えながら何度もリピートしてしまった。そして何と言っても兄キが今際の際で告げる衝撃の事実のどうでも良さ。
ところでテリー役のニナ・アクセルロッドという女優、どこかで見た事のある顔だと思ったら、ブレードランナーのメイキングに少しだけ登場するレイチェル役に決まりかけて落ちちゃった人だった。
役に恵まれずパッとしないまま引退し、その後は裏方に回ったそうだが、もし本作直後のブレードランナーでレイチェル役をゲットしていたら今と違った人生を歩んでいただろうし、ブレランの印象や立ち位置もまた変わったかもしれない。
ネオンサイン『MOTEL HELLO』の最後のOがバチバチ言いながら消えて『地獄のモーテル』になるのがクール。同じネオンサイン風のクレジットも洒落てて良い。
意図してなのかウッカリなのか、ストーリーが破綻していたり意味不明な所があったりと、普通なら評価を下げるポイントが多々あるものの何故か気にならず許せてしまうから不思議だ。それどころかプラスに働いて面白さマシマシになっているのが稀有なところで、本作がカルト化した所以もそこら辺にあるのだろう。
今後もくり返し楽しませて頂くことになりそうな、愛すべき奇作。