けーはち

ソフィーの選択のけーはちのレビュー・感想・評価

ソフィーの選択(1982年製作の映画)
3.6
イチャイチャ能天気バカップルに悲しき過去。戦後間もない頃のユダヤ人の男とポーランド人の女、と言えばホロコースト・サバイバーものになるのは想像に難くないのだが、序盤のパッパラパーなカップルの中に潜んだ狂気と悲哀がどんどん顕になり、ついには彼女の凄惨な過去が明るみに出て来る。そして標題「ソフィーの選択」とは──非ユダヤ人ホロコースト被害者の主人公、メリル・ストリープの力演でオスカー主演女優賞受賞。ヒトラーの凶暴さはユダヤ人以外にも及んでおり、彼の東方生存圏論においては東欧、特にポーランド、リトアニアはドイツの植民地ぐらいにしか考えておらず、インテリ層や神職を殺したり各地の文化を無茶苦茶にしてきた。欧米でナチスの所業が他の戦争犯罪とは別格の絶対悪扱いされるのは、侵略戦争をやって敗けたというのもあるが、同じ欧州の白人に非道を働いたというのが何より大きくあったのだろう。