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WANDA/ワンダのshinefilmのレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
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何も出来ない、私には何も出来ないの。
仕事が遅いから人手がなくとも君には回せないと職を失い、旦那と子どもとも別れ、ふと逃れるように入った映画館で全財産を盗まれて、行きずりの男たちと寝ることで生き長らえるワンダ。何も出来ない、自分は無価値だと絶望したくなる夜を経験した者にしか分からない感情と、同じように不器用な強盗男からの初めての存在肯定によって生まれた笑顔が胸にくる。どこにも辿り着かなかった逃避行の果て、女を性欲処理の相手としか思わない男からのーワンダの中の何が叫ぶように存在をかけて拒絶するあのシーンが忘れられない。行動に共感出来ないからつまらなかったとこの映画も彼女も否定するのは簡単だしそりゃあ、まともとは言えないかもしれないが、正しく回っていく世界からはみ出したり落ちた者は無価値だと示し、思わせる認識にはNOを示したいと思う。
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