nana

大病人のnanaのレビュー・感想・評価

大病人(1993年製作の映画)
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伊丹十三版『生きる』と言ってもいいのかもしれない、人の死に向き合うコメディ作品。
主人公(映画監督・俳優)が癌に冒された作曲家の映画を製作していくので、彼本人と役が次第に重なっていくところが面白いです。
彼がついに役と一体化したと言えるクライマックスのオーケストラシーンは圧巻。

入院患者役の三谷昇が亡くなったとのことで、少ししんみりしました。
『軍旗はためく下に』での演技も印象的です。

主人公は全くしょうがない人ですが、三國連太郎が演じることによりどこか憎めない、キュートな老人になっているところが魅力。
津川雅彦演じる医師との関係も印象的です。
自分の残り時間を悟り、死への恐怖からガクガク震える主人公を思わず医師が抱きしめるところは感動します。

人はどう死ぬか、そして最後の瞬間までどう生きるか。
『お葬式』を観ていたので、ラストに桜が咲いていたのがより印象に残りました。
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