すずり

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのすずりのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

【概略】
脳腫瘍で余命幾ばくのマーティンと、骨肉腫で死にかけのルディの2人はまだ見たことのない海へ向けて旅に出る。
ただ、天国で流行りの「海の話」をするために。

・・・

【講評】
凄く低俗な話で、所々でギャグが挟まれるにも関わらず、全編を突き抜けていく圧倒的なまでのセンス。
タイトルからラストシーンに至る迄の一切合切が洒落ていて、まさしくロックに満ちた一作。

「天国では海の話が流行ってるんだ」
という台詞が、妙に頭に残って離れない。
そもそも、死後の世界で流行に乗るために疾走すること自体に、何とも言えない趣きがある。
また、"海"という、多くの人が心に抱いている原風景を求めて駆ける彼等の旅路は、観ている者を心の深い部分から魅了して離さない。

これは、彼等だけの物語ではない。
死という存在に向き合わなければいけない、"僕ら"の物語でもあるのだ。
人生の切り離せない一部である『死』を、お洒落に、かつロックに演出してみせた大傑作。

【総括】
海を見るだけのためにひた走る、死にかけの2人の男の物語。
最高の名作。
すずり

すずり