土星

或る種の愛情の土星のレビュー・感想・評価

或る種の愛情(1962年製作の映画)
4.6
ずっと観たかったシュレシンジャーの「或る種の愛情」、傑作だった。
愛の不能、というとカッコイイが結局自己中の情けない男の話で、アラン・ベイツの熱演が光る特殊なラブストーリーだった。映画のなかではあまり男の自責の念というか葛藤が見られず、もっと四苦八苦して成長したりしなかったりのドラマがあればより良かった。愛という不確かなものを掴もうとする意志というか観念的な苦悩が欠如していて、まあ時代もあるのかもしれないけど、その場その場の感情に終始しているのは残念。或る種の愛情(A Kind of Loving)というタイトルは果たして皮肉なのか希望なのか。
しかし、こういう露悪ギリギリの正直な映画というのは面白い。なぜならクズ男にも真理や個人の危機やらがあり、その限りで映画は開かれるべきだから。
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