おだんごスプリング

カナリアのおだんごスプリングのネタバレレビュー・内容・結末

カナリア(2004年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

Yahoo!映画からのレビュー引っ越し

俳優さんすごい
ストーリーもえぇ感じなんですけど、、出てくるすべての俳優さんの素晴らしい演技を堪能していただきたい作品であります。

どうもオウム真理教事件が軸になっている作品のようです。

能動的に観るか、だら~っと受動的に観るのかでおそらくだいぶ違う作品。

まず俳優陣が最強!

谷村美月さん、映画人だなとは思っていたものの、このころ14~15歳かな?なんて素晴らしいのか。
大阪のご出身のため大阪弁に全く不自然な点がないし、そのほかの演技についても自然すぎてビビる。

家庭環境が複雑で(おかんが早くに亡くなってオトンがろくでもない感じだったようだ。)、オンナを武器にしてお金をもらう方法をすでに知っている12歳の役。

ただそこにいる12歳にしか見えなかった。最後まで彼女の家庭環境はそこまで深く語られることはないのだが、彼女の所作、発言、何気ないしぐさすべてからそれが伝わる。

日本を代表する素晴らしい役者さんだと思います。

そしてその彼女よりさらに素晴らしかったのが主人公の石田法嗣さん。

光一は

母親を愛していた

だけど妹を守らなければならなかった

だけどおかしさを感じる組織をただ信じるしかなかった

だけど彼は母親を愛していた

だけどそれを信じなければ救われなかった

そんなすべての矛盾の中に12歳の少年がいて

苦しくて

頑張って

だけどただのコドモで

守られるべき存在で。


そんなすべての矛盾が彼の瞳の中にしまってある
素晴らしい演技でした。

元信者にサラっと西島秀俊さん出てくるし。

そして眞島秀和さん出てるし。渡辺真起子さん出てるし。

ただそれでも、やっぱこれは谷村美月さんと石田法嗣さん の映画です。

2時間無駄な演出とか無駄なエピソードがなく、うまくまとまっていて、
いかに普通の人間が、いやむしろ少しだけ利口な人間が危ない思想に走ってしまうのかが
胸にしみる作品。

いろいろ考えました。

死ぬほど傷ついたことがある人ほど、人を愛することができるし人を幸せにできる。

なんかそんな有名な作品じゃないのかもしらんけど、すげーいい映画でした!
THE邦画ですね。
やっぱ邦画好きです。
多くは語らない人の苦しみ。
目で物語るつらさ。雄弁は銀沈黙は金。あーニホンジンダネ。

夕暮れっぽい映画です。
夕暮れって不思議で、幸せな暮らしがあるときは、温かいご飯の待っている場所を示すもの。
つらいときは、自分の家、今の自分の心にはない何か温かいものを象徴しているかのような、郷愁を感じさせるもの。
むしろ、私だって、持っていたはずなのにと、恨めしさすら感じさせるもの。

とおく、ちかく、とおい。

あなたがいつか、「さあ、家に帰ろう」と思える場所ができますように。

誰もがそんな家を持てる日がきますように。